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October 30, 2005
庭園植物記 @ 東京都庭園美術館
『非水百花譜』イイ! というわけで、庭園植物記 @ 東京都庭園美術館を観てきました。幕末から現代まで、様々なテーマで植物を扱った作品等をみていく内容なのですが、やはり幕末~明治期のものが大変面白かったです。
横山松三郎は写真家としてしか知らなかったのですが、油絵や石版もやってたんですねー。蕃書調所・開成所の高橋由一や島霞谷の図譜は写生帖のような感じなのに対して、小石川植物園や東京博物館(今の科博)の図譜はもうちょっと図鑑っぽかったりする(描きかたが科学してるというか。学名や採集地を書いたラベルが貼ってあったりするし。まぁそれは後からつけたのかもですが)のも面白かったです。小川一真の写真も、Karl Blossfeldtとか思い出してしまう。でも小川一真の写真は帝室博物館のものと牧野富太郎が作った標本を撮影したものとでは全然違ってて、これも興味深かったですねー。牧野の標本の写真はもちろん、すでに標本としてその「見方」の枠組みが整えられたものなので、その違いなのですが。同様に、牧野の図というのはとても西洋的な描写方法になっているのも面白いと思いました。牧野が尊敬していたという飯沼慾斎の図譜は江戸時代のものなので、当然絵の描き方が日本的だし本の作りも江戸時代の本そのもの。でもそこでリンネの分類法が使われているというのがなんだか不思議な感覚です。こういう本の姿って好き。結構早くに入ってたんですね、リンネの分類学って。で、そこらへんの絵の視角と科学の視角の関係みたいなところがもっと知りたいと思いました。
キノコの標本や胞子を貼りつけた南方熊楠の図はなんだかハイパーでした。すげー。あとカタログの論文に出てたのですが、『東洋花鳥写真集』が展示されていた岡本東洋が竹内栖鳳に6、7千枚の写真を送ってたという話もびっくり。
杉浦非水の『非水百花譜』は、多色木版の本図と影図、それに写真つきの解説がセットになっている、図案集兼植物図鑑のようなものなの。これいいです。こういう本欲しい…。日本のアール・ヌーヴォー 1900-1923:工芸とデザインの新時代 @ 東京国立近代美術館工芸館でも取り上げられてるのかな? やっぱりこちらも観にいきたいです。浅井忠の『訂正 浅井自在画臨本』でも、写生と図案とあわせて写真も貼られていてます。図案教育のための本なのですが、写真、写生、図案と比較することで、図案制作という抽象化の段階を見せようとしていて興味深いです。また富本憲吉も写真を元に図をつくり、そこから染付けの皿を作っていたりします。これが面白いのは、図のあとに自身で「以上六種の模様は自から写真機を以て実物を撮したるものより 模様を造り得との考えを試みに種々の方面より研究したる最初の図巻なり」と書いていて、非常に意識的に方法論としてやっているところです。これらはどれも、すごいシステマティックに新しい手法を探求してるし、まさにミクストメディアっていうか、複合的なんですよねー。うーむ。
と展示前半に興奮しすぎて、後半は流しぎみになってしまいました…。でも面白かったです。庭園美術館、自分好みの展示が続いてて目がはなせません。
投稿者 ryoji : October 30, 2005 11:32 PM
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コメント
ニアミスか。私は日曜14時ごろ見ました。須田がいちばんよかった。っつーのは無しか。
投稿者 ishikawa : October 31, 2005 05:59 PM
ニアミスですね。須田悦弘のはよかったですよね。スルーしちゃう人多そうですけど。
投稿者 ryoji : October 31, 2005 09:14 PM