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ライブの、というよりむしろ千葉レーダのレビュー。

テクノポリス 2001-3 @ 池袋サイバー[音楽-ライブ]

僕は普段ライブにはいかない。もともと音楽には疎いし、聞くとしても CD ばかりだ。が、千葉レーダはできるだけ見に行くようにしている。友達がやっているということもあるが、彼らの良さはステージでなければちょっと味わえない。ライブ感覚というのとはまた別の意味で。

参加していたバンドのほとんどは、クラフトワークのような音楽をそれと思っている僕には、テクノとは思えなかった。そこで僕は便宜的にロック系バンドのライブであると思うことにした。音も歌詞も、反抗を感じさせるロックのそれだったから。あとで千葉レーダの茂木君に聞いた話では、テクノというと、こういう初期のシンセ入りのロック的な音楽を指すこともあるようだ。

さらに身も蓋もないことを言ってしまえば、僕はロックが苦手だ。特にギターの音は、よほど上手い「聞かせる」ものでなければ、聞いているのが辛い。そういう中で、SPOOZYS はミックスバランスがしっかりしていて、テクニックもあり、気持ち良く聞けた。それにしても、どうも僕はもともとお祭り好きな人種ではないようだ。エモーショナルなだけの音楽に価値を見出すことができないし、それにノって騒ぐこともできない。ロマン主義は世の中的には根強いが、僕にとっては少しも興味深いところがないのだ。なんだか損してる気もする。でも POLYSICS のキーボードの女の子は好みだ(無節操だなあ)。

千葉レーダはそういう意味で、ライブの中ではかなり異色の存在だった。はっきりいって、浮いていた。まあ千葉レーダのようなバンドがいっぱいあるようなら、それはそれで異常な世界だとは思うが。といってもファンは多くて、会場は盛り上がっていた。

まず、「潮干狩り」の堀君 Remix で登場。いつもの千葉レーダのテーマとは趣向を変えたようだ。アドリブが多かったそうだが、トークも冴えていた。「青い空、青い海、そして」と振り返った茂木君の後ろで堀君が捧げていたのは、「白い靴。夏本番、おしゃれは足元から」。ううむ、エンターテナーだなあ、といつも思う。途中の MC では小倉君と堀君がやや反抗的で(「靴履こうよ。小さい?24cm じゃないの?せっかくの白い靴」)、茂木君を頂点とするハイアラーキーが崩れかけている、という雰囲気だった。「みんなそうやって、だんだんエラくなっていくんだよな」。そして踊る茂木君の腰つきはいつものように悩ましい。

千葉レーダは茂木君がボーカルで歌っている他は、楽器の演奏をしていない。MD のスイッチをいれるぐらいか。曲は全部打ち込みで作っているから、やることがないのだ。ビデオをとったりジュースを飲んだりしている。とこう書くと、なんでステージにいるのかわかりにくいが、僕は MC のとき以外でも、みんなステージには不可欠に見える。言葉にするのはとても難しいけれど、彼らがいることである種の空気がそこに出来るのだ。また、曲そのものの完成度は高く、かなり凝っている。ただステージでは演出というか踊りやトークがあまりにも面白いので、なかなか注意が行きづらい気もするが。

いくつかの馴染みの曲、お約束のジャンケン、梅ガムのサーヴィスと続き、「サンリーブ」でおわかれとなった。立ちっぱなしで疲れていたけど、千葉レーダはしっかり楽しませてくれた。次回も行こう。


Murata Ryoji - <ryoji@cc.rim.or.jp>
$Date: 1998/08/02 $