Felix Hess, "How light is changed into sound" @ Kosuke Tsumura Aoyama Shop Free Space [3] [美術展]

テクノロジー・アート、サウンド・アートの分野で高い評価を得ている オランダのアーティストの新作展。

会場の中央には回路基盤と太陽電池が4組並べてある。そして部屋の4隅にそれらの 太陽電池にそれぞれつながったピアゾ素子(スピーカーのようなもの)が 置かれている。ピアゾは5cm角ほどの小さな木の板の上におかれ、さらに小石で 押えられている。「自然光からエネルギーを得て音をつくり出すシステム」とのこと。

まず、サイズがかわいい。それぞれは手の平に載る程度の大きさ。そして 光の変化を音の変化に反映させているのだが、これがとても繊細というか敏感だ。 窓からの光を遮らないように太陽電池の横を通ろうと近付いただけで、それまで 「ギギギ…ギギギ」と鳴ってたのが「キュキュ、ギョロロー」とかなり変化した。 この敏感さがまたかわいい。「あ、ごめん」とか思ってしまう。
秋の虫たちみたいだなあ、と思っていたら、Hess は世界中の蛙の声を録音して まわったことがあるらしい。なんとなく納得がいってしまった。 とても風流なインスタレーション。

会場の Free Space [3] はファッション・ブランド Kosuke Tsumura のショップの3階。 1階の通りに面したショー・ウィンドウにも作品が展示してある。

Felix Hess, "Sound Installation" @ Omega Point [美術展]

Free Space [3] にあったチラシを片手に池尻大橋へ。場所はわかりにくい。地図を 見ながらいったのに、一度通り過ぎてしまった。Omega Point はノイズや サウンド・アートを専門に扱うレコードショップ。でも、マンションの普通の一室を 店にしていて、看板もでていない。ドアの前に Hess のチラシが貼ってあったので かろうじてわかった。ドアはしまってて、この時点でかなりアヤシイ雰囲気だ。 ひーコワイヨー。チャイムを鳴らさなくていいのかなあ、などとあらぬことを 考えつつノブをひねると、店の中の人と眼があってしまい、なんとなく会釈。 が、客だったようだ。どうも、こういう慣れない場所は苦手だ。

店内はアナログ盤やCDで埋め尽くされていて、CDラックのすきまなど数ヶ所に Hess の作品があった。こちらは Free Space [3] にあったのとピアゾの部分は同じで、 太陽電池のかわりに9vの電池がつけられている。これも「ギギギ…ギギ…」と 鳴っていた。気圧センサーがついていて空気のゆらぎに反応するとのことだが、 あまり変化は感じられなかった。

この店では Hess のオリジナルCD 4枚組のBoxセットが売られていたのだけど、 どんな人が買うんだろう?

Hess の作品を見ていると、以前たまたま同席した 森岡祥倫さん が「テクノロジー・アートは長編小説をやるより、俳句をやったほうがいい」 といった意味のことをおっしゃってたのが、すごく説得力をもって思い出される。 チラシにかかれたドローイングには装置の各部の説明が書いてあるのだが、 木の板のところに "(for better sound)" とあるのが妙にうれしいのだ。


Review 1998 [Index]
Murata Ryoji - <ryoji@cc.rim.or.jp>
$Date: 1998/11/08$