「実験工房」メンバーでもあった写真家 大辻 清司 の仕事をまとまった形で見せる 回顧展。大規模ではないものの、大辻のさまざまな側面を俯瞰できる内容だ。
初期のシュールレアリスム的な作品や構成的な作品から、実験工房のアーティストを 撮ったもの、また1970年の『物質と人間』展の記録など、非常に多岐にわたる 活動ぶりが印象的だ。
個々の作品で眼を惹いたのは、めまいのするような『首都高速』('67)や、
『梓川電源開発』('68)のような、タイポグラフィー的な作品だ。
『梓川電源開発』(なぜかインクジェット・プリント)は、大辻の教え子である
畠山 直哉 の "Lime Works" を思わせるもの。
何かペンキ絵のような、平板な感じが不思議な空間を作っている。
こうした現在につながるタイポグラフィー的な仕事のはしりなのだろうか。
また気になると言えば、街の路地でとったスナップ 『なんでもない写真』('75)も、気になる。 なんでもないのだが、何が気になるのかよくわからないので、気になる。 何が気になるのだろう?