『オフィス・キラー』

セルフ・ポートレイトで有名な Cindy Sharman 初の監督作品。 Cindy Sharman といえば、とりわけ "Untitled Film Still" のシリーズで映画の一場面のような写真を撮っていたし、そこに写しだされる ステレオタイプな女性像が印象的で、どんな映画を撮るのか興味津々ではあった。

が、ごく普通の(と言っては語弊があるが)ホラー映画だった。 そういう意味ではかなり期待外れといってもいいのだけれど、 まあホラー映画にしては変な映画だ。十分不気味なシーンはたっぷりあるのに、 恐くないどころか、思わず笑ってしまうのだから。

さえない OL がふとしたきっかけから殺人鬼に変貌していく、という 物語なのだけれど、この「冴えない OL」が冴えないなりに妙にかわいい。 いや冴えないからかわいいのか。よくわからないけれど、死体で遊ぶ 無邪気な様子はとっても奇妙だ。どんなに気持ちのわるいシーンでも 「うげぇー」と思いながら顔が笑ってしまう。 「Cindy Sharman の」という期待からズレまくった映画だったけれど、 これはこれで結構楽しめた。

場内には若いカップルがやたら多くて、展覧会とは客層がまったく違っていたのも 不思議だった。巷でどんな評判が流れているんだろう。


Review 1999[Index]
Murata Ryoji - <ryoji@cc.rim.or.jp>
$Date: 1999/08/08$