セルフ・ポートレイトで有名な Cindy Sharman 初の監督作品。 Cindy Sharman といえば、とりわけ "Untitled Film Still" のシリーズで映画の一場面のような写真を撮っていたし、そこに写しだされる ステレオタイプな女性像が印象的で、どんな映画を撮るのか興味津々ではあった。
が、ごく普通の(と言っては語弊があるが)ホラー映画だった。 そういう意味ではかなり期待外れといってもいいのだけれど、 まあホラー映画にしては変な映画だ。十分不気味なシーンはたっぷりあるのに、 恐くないどころか、思わず笑ってしまうのだから。
さえない OL がふとしたきっかけから殺人鬼に変貌していく、という 物語なのだけれど、この「冴えない OL」が冴えないなりに妙にかわいい。 いや冴えないからかわいいのか。よくわからないけれど、死体で遊ぶ 無邪気な様子はとっても奇妙だ。どんなに気持ちのわるいシーンでも 「うげぇー」と思いながら顔が笑ってしまう。 「Cindy Sharman の」という期待からズレまくった映画だったけれど、 これはこれで結構楽しめた。
場内には若いカップルがやたら多くて、展覧会とは客層がまったく違っていたのも 不思議だった。巷でどんな評判が流れているんだろう。