『ポスター芸術の革命 ― ロシア・アヴァンギャルド展 ― ステンベルク兄弟を中心に』

ロシア・アヴァンギャルドのポスターの中から、映画ポスターを多く制作した ステンベルク兄弟 (Stenberg Brothers) を中心に紹介する展覧会。 第1部で映画ポスター、第2部でプロパガンダ・ポスターと分けての構成に なっている。

ロシア・アヴァンギャルドのポスターでは有名どころはかなり観ているので、 そういう点ではあまり新鮮味はなかったのだけれど、ステンベルク兄弟という 作家を中心にした構成からは、新たに見えてくる部分もあったように思う。 例えば、螺旋やストライプの多用、円弧に沿って配置したタイポグラフィー などは、他の作家のデザインにはそれほど特徴的に見られるものではない。 もちろん同時に、斜線による構成やフォト・モンタージュのような ロシア・アヴァンギャルド共通の特徴もまた確認されるし、形式上は 第2部のプロパガンダ・ポスターでもそれは見られる。

ポスターは知っているけれど映画を観たことがない、というものが 多かったので、またアヴァンギャルド映画を観たくなってしまった。 それと些細なことだけれど、ヴェルトフの『カメラを持った男』 ("The Man with the Movie Camera", 1929) が日本では昭和6年にすでに公開されていて、しかもその時の邦題が 『これがロシアだ』だったとは。当時の日本でのロシア・アヴァンギャルドの 受容というのにも興味がわくところではある。


Review 2001[Index]
Murata Ryoji - <ryoji@cc.rim.or.jp>
$Date: 2001/2/12$