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October 14, 2005

デジタルアーカイブ連続講演会 @ 慶應大

2005年度慶應義塾学事振興資金による研究課題 デジタルアーカイブ連続講演会でしゃべってきました。博物館のための概念参照モデルCIDOC CRMについて、博物館の資料の特殊性などを交じえながら。図書館の人たちとは、やはり結構感覚が違うので、いろいろと勉強になりました。図書館の目録管理はとても歴史があって、方法論が確立してるし、目的も明快だし、あのノウハウはもっと活かせるはずだと思いました。ま、逆に過去を引きずってるところもあるようですが。今後の講演にもできるだけ行って勉強させてもらおうと思ってます。次回は EAD ということで文書関係の人の話が聞けるので、楽しみです。

ところで準備にあたって、以前書いた文書を読みなおしたりしたんですが、間違いとかけっこうあるなぁ…時間をみつけて手を入れないと…。

しばらくきちんとフォローできてなかった感もある CIDOC CRM でしたが、4.0 の仕様をちょっと読んでみました。いつのまにか Entity が Class になってるし。その方が僕には馴染みやすいですけど。それはともかく、講演の中でも言ったのですが、CIDOC CRM の話が出ると、どうもいつも似たような誤解をされてるように思います。ひとつは、「ISO 標準になったら JIS になる、そうなったら否応なくこれを使わないとならない。だけどこんな難しいもの学芸員には理解できない。さあどうするんだ」という反応。ISO 標準になったからといって、そんな強制力がどこからか働いてくる、ということは僕にはちょっと考えられません。なんでそんな黒船来襲みたいな印象持つ人がいるんでしょうか…。それから「こんなに細かいデータなんか作れない。非現実的だ」という話。でも「何をデータとして作るべきか」については CRM では何も触れていません。だから使う情報をどうモデリングするかってときに参考にすればいいだけなんですけどねー。それに実際調べたらすぐ分ると思いますが、どうせクラスはあれじゃ足りないです。拡張しないと。

でもともかく、あれはいわば分析ツールなのであって (だから参照モデルって言ってる)、実装はひとまず置いて考えないと、おかしなことになります。でも、博物館の視点での分析としては非常にしっかり行なわれているので、現実のシステムを設計する段階では非常に役にたちます。思うに、資料だけでなく、業務についても同じような分析ができれば、それはそれで使いでがあるんじゃないでしょうかね。

投稿者 ryoji : October 14, 2005 11:30 PM

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