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May 11, 2006

ジョン オルコック『社会生物学の勝利―批判者たちはどこで誤ったか』

ジョン オルコック『社会生物学の勝利―批判者たちはどこで誤ったか』(長谷川真理子訳、新曜社、2004/01) を読了。

社会生物学の勝利―批判者たちはどこで誤ったか

生物の様々な社会的行動を進化的に説明しようとしてきた社会生物学が、誤った非難や中傷をされながらも挙げつづけてきた様々な成果を紹介しつつ、そうした批判のどこが間違っているのかを丁寧に解きほぐしてくれます。社会生物学が扱ってきたいろいろなテーマそのものも面白いし、そういう考え方 (生物の社会的行動がどのように繁殖戦略に役立ってきて、その結果どのような行動様式や文化が発達したり、副作用が現れたりするのか、といった) も大変興味深いです。また特にこれが人間に適用されて、不倫の適応論的分析とかすると、社会科学者やフェミニストといった人達がどれほどあっさりと「自然主義の誤謬」に陥ってしまうかというエピソードも面白い。

多くの人は、セーシェルヨシキリのヘルパーやカワトンボの精子間競争を進化的に分析しても、とくに何の反対もしない (と言うか、悲しいことに、こんなことにはあまり興味がない)。しかし、これが進化と人間の話になったとたん、いとも簡単に怒声が飛び交うことになる。(p.195)

訳者の長谷川真理子については、長谷川真理子『オスの戦略メスの戦略』 (日本放送協会、1999年) をとても楽しく読んで以来、いくつか著作を読んでます。すばらしい書き手です。あと関連するところで面白かったのは、スティーブン・ピンカー『人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か』 (NHK出版、2004年) でしょうか。

投稿者 ryoji : May 11, 2006 11:55 PM

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