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May 29, 2006

ぞっとする

映画『ナイロビの蜂』 - "The Constant Gardener," Fernando Meirelles(dir.), 2005, UK.(imdb) を観たんですが。ええと、映画は結構よかったです。ラブストーリーと社会派サスペンスが緊密に組みあわされた、痛ましくも美しい物語が印象的でした。ケニアの風景にも心を魅かれるものがあります。音楽もよかったし。お涙頂戴的なところもあるかもしれませんが、品良く作ってあるので気になりません。Fernando Meirelles の他の作品は観てないので、City of God (2002) とかは観てみたいですね。あ、ところで物語で告発される製薬会社などによる国際的な不正義というのは、実際にもある模様。むう。

で、ぞっとしたのは別の話。恥ずかしい話ですが。映画の舞台がケニアだったんで、そういや最近 TFJ さんとこでアフリカネタの発言があったなーと思い読み返したんです。

あと、1996-1997 の First Congo War とそれに続く 1998-2003 の Second Congo War (周辺諸国を巻き込み第二次世界大戦後の戦争で最悪となる400万人近い犠牲者を出したことから「アフリカ大戦 (Africa's World War, Great War of Africa)」と悪名高い) についてもどうぞ。 アフリカ大戦はルワンダ大虐殺 (Rwandan Genocide) の延長という面もあるし、甚大な犠牲者を出していることからしても、もっと知られていいように思いますが……。

ん? 400万人? なにそのよくわかんない大きな数字? とぎょっとしたわけです。ルワンダの大虐殺に関連してコンゴで紛争があったことは知ってたんですが、そんなにヒドかったとは全然知りませんでした。ていうか、ルワンダ大虐殺の周辺の話題みたいな扱いでしか聞いたことがなかったんですよ。それだって、虐殺が起きてた当時は全然知らなかったわけですが。いやでもこのアフリカ大戦、なんでそんな大規模で、すさまじい犠牲が出てるのに、なんで僕は全然知りもしなかったんだろう。1998-2003 ってついこないだじゃんか。1999年にコソボ空爆があって。2001年に 9.11 テロがあって、アフガニスタンとイラクで。そういう時期ですよね。9.11 で 3,000 人の犠牲者が出て、たくさんの人達が「あの日を境に世界が変わった」って言ってた。コンゴ周辺では、その前後の5年間で400万人に近い死者。でもほとんど誰も話題にすらしなかった。犠牲者の数を比べてどうしようってわけじゃ全然ないですよ。だけど僕は、アフリカでそんな重大な危機が起きてたことに、気がつきさえしなかった。なんてこと。第二次大戦後に起きた最悪の戦争なのに、気がつかないなんてどういうこと? ルワンダ大虐殺だって、世間で話題になるようになったのは起きて数年経ってからだったと思いますが…。たとえばダルフールだって、テレビで扱われてるのは見たことないし (やってるのかもしれませんが、ごく稀ですよね…)。週刊誌やテレビで取り上げてるようなニュースやゴシップは嫌でも目に入るのに。うぅ、気持ち悪い。頭がくらくらする。

投稿者 ryoji : May 29, 2006 01:15 AM

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