Rebecca Bournigault, "PORTRAITS real time"

初めて行ったギャラリー。地図を持っていたので ("KAWAMATA Project" で入手したフライヤ) 迷わずにすんだが、ちょっと場所はわかりにくい。場所はよくないけど、わりに 広くていい感じのギャラリーだ。

Rebecca Bournigault は28歳の若手女性作家。ポートレイトやビデオを中心に制作 しているとのことだが、今回はビデオ・インスタレーション。しかも考えうる限りで 最もシンプルなかたちだ。用意された椅子に座ると、正面の 5m × 10m の壁面に 座った人の顔がいっぱいに映し出される。それだけ。

けど、これが結構面白い。とりあえずそんなにデカい自分の顔なんて見たことが ないから、座った瞬間「うっ」とのけぞる。なんとまあ汚らしいディティールである ことよ。かなり居心地が悪い。普通にビデオで写された自分を見る時の居心地の 悪さとはまた違うものだった。この居心地の悪さは人によっては拒絶反応を 起こしてしまうかも知れない。ナルシシストならよろこぶのだろうか。 しばらく見ているうちに多少慣れてくるのだけれど、でっかい自分の顔、という だけで思いのほか楽しめるものだ。

観客参加型というか、純然たるインタラクティヴ・アートだと思うのだけれど、 ここでは作者の存在感がものすごく希薄だ。作者の特権を批判する意味での インタラクティヴなら、作品は単なるメディウムになるべきなのだろうけれど、 ある意味ではそれが達成されているのかもしれない。

2階に展示されていたデジタル・カメラによるポートレイト作品は、こんなものかー という程度でそれほど面白くない。メインのインスタレーションとかなりギャップを 感じたので、ちょっと残念。


Review 1998 [Index]
Murata Ryoji - <ryoji@cc.rim.or.jp>
$Date: 1998/12/07$