谷口 文保 展

去年ギャラリーNWハウスでも見た 僕の先輩、谷口 文保の個展。このギャラリー現での個展は3回目だ。

今回は去年の個展で見せていたガラスの積層による作品をさらに展開したもの。 ニンジンの石膏型をとって、そのままニンジンを型の中に放置して乾燥させている 部分が土台になっている。その上にガラスを重ねてニンジンの乾燥する経過を 記録しているものだ。
前回の作品と違うのは、そのガラスに施されたドローイングだ。数ミリ程度の 不規則な幅を持つ鏡面になっていて、真上から見るとそれぞれのガラスに描かれた ドローイングがぴったり重なって、やや広い鏡面になる。下のニンジンを見ようと すると、自分の顔が写しだされるような格好になる。 とても繊細な線なのだけれど、聞けばこれはガラスに描いたものではなく、 鏡の裏面を削ってニンジンの輪郭線を残したものだという。 集中力を必要とする作業が成果を生んでいると思った。

僕は彼の仕事を学生時代から見ているわけだけれど、去年と今年は格段に 良くなってきていると思う。 ある作家を継続して見ることの面白さを改めて思った。 今後も注目していきたい。


Review 1999[Index]
Murata Ryoji - <ryoji@cc.rim.or.jp>
$Date: 1999/09/26$