というわけで、まず E プログラムとして上映された2作品から。
「眠い映画」というのはどうして悪い意味でしか使われないんだろう? この作品はとっても眠い映画だった。時期的に館内の暖房が効いているというのも もちろんあるけれど、時間の流れかたがとてもゆっくりなのだ。 画面はどちらかといえば単調。コルシカ島をドライヴする車の窓から撮影した 風景とか、船から見える海の景色とかが大半だ。時々思いだしたように全く別の 画像が挿入される。かと思うと極めて映画的に「キマって」いるシーンもある。 僕はほとんど夢うつつの状態で観ていたので、 たまに画面が変わると入眠時幻覚とまざりあっていい具合だった。
ぼおっと観ているといつの間にか舞台がコルシカ島から日本に移っていた。 祭の風景とか、テレビを再撮影した画面でそれとわかる。わかった途端に眼が覚めた。 北野 武 の映画とか 宮沢 りえ の記者会見などが映されていたのだけれど、 そういう見覚えのある映像を眼にしたとたんに、 急に過剰に意味を汲みとりはじめてしまったのだ。 そういうギャップが興味深く感じられた。
Ile de Beaute は Ange Leccia との共作だったが、こちらは一人で
監督したもの。鴨川沿いを横に移動しながら映される画面に、
若い男女の電話でのやりとりが重なる、叙情的な作品だ。
彼らは関西弁でしゃべっているのけど、英訳字幕の何と味気のないことよ…。
僕が行った日は、Jerome Sans によるレクチャーがあったので、 引き続きそちらも聴いてきた。まあ、特に目新しいことを言っていたわけでも ないけれど、今回の企画を「カバンに入れて巡回できるような展覧会にしたかった」 と表現していたのが印象に残っている。やたらよくしゃべる人で 通訳が困っていたのが可笑しかったが。