Berlin Dada のメンバーでもあった風刺画家 George Grosz の日本初の回顧展。 展示は年代順で、初期の作品から Berlin Dada の時期、新即物主義にいたる までのドイツ時代が最初のパート、アメリカに亡命してニューヨークに 移り住んでからの作品の展示が二つめのパートという形に大きくわかれている。
全体にイラストレーション的な作品がやはり多いのだが、油彩や水彩の作品も 展示されていて、こんな仕事もしてるんだな、などと思った。とはいえ、 やはりよく知られているような風刺画が痛烈で目をひくし、面白いのだが。 「ガロ」とかに載っていそうなヘタウマ的な線のイラストレーションは、 人物の顔の表情がとてもユニークだ。人間だけでなく、なぜかしばしば 描きこまれている犬の顔が、なんともいえず良い。
アメリカに亡命してからの作品では、裸婦や風景画などよりも戦争を描いた 暗い作品が強烈。版画だからというせいもあるかも知れないけれど、 Francisco Goya の『戦争の惨禍』のシリーズを思い出してしまった。