『間 -- 20年後の帰還』

ちょっと観てから時間が経ってしまったけど、せっかくなので覚え書き。

1978-81年にパリを始め欧米6ヶ所で開催された _"MA; Space-Time in Japan_ を、企画者でもあった 磯崎 新 が 再構成した展覧会。当時出展していた作家の、最近の作品を展示していたりと、 単に再現するだけではない内容になっている。「うつ・みたて・もどき・ま」の 4つのキーワードで構成されている。磯崎の『見立ての手法』でも 紹介されていたそうだ (自分では未確認)。

20年。どうなんだろう。この時間が中途半端なのかも知れない。歴史として 見るにはちょっと近すぎるような気もするし、と言って内容が「現代的」と 言えるかというとこれも疑問が残る。当時欧米でこういう展覧会をやったことは もちろん意義あることだと思う。でも出展していた作家の作品も近作となれば、 当然当時のような文脈での展示にはなっていないのだろうし、今ひとつ脈絡が よくわからない、というのが率直な感想。

ちょっとずれるかも知れないけど、元々英語で書かれた岡倉天心の『茶の本』 なんかは今読んでも面白い。たぶん、お茶のことなんてよく知らなくても 十分読めるからだろう。文化的な前提みたいなものが共有できない相手を 想定して書かれているから読める。この展覧会も、もっと時間が経ってから 観たらまた違ってくるのかも知れない。


Review 2000[Index]
Murata Ryoji - <ryoji@cc.rim.or.jp>
$Date: 2000/10/15$