『マッキントッシュとグラスゴー・スタイル展』

「マッキントッシュ」というと最近ではすっかり Apple 社のパソコンだけれど、 こちらはグラスゴーの Charles Rennie Mackintosh の展覧会。家具から建築まで 手掛けた Mackintosh のデザインと、グラスゴーの "the four" の スタイルを紹介している。

Mackintosh のデザインとえば High Back Chair くらいしか知らなかった 僕としては、かなり象徴主義的な色合いの強いグラフィック・デザインや 装飾的な建築は新鮮だった。これまで何となく、シンプルな形態から どちらかというとモダンなデザイナーという連想を (間違って) していたぶん、 椅子のあの背の高さや線の細さ、あるいは象嵌のようなディティールが また違った意味を持って見えてきて面白かった。デザイン史に詳しい人には 常識なのかもしれないけれど、中国趣味の入った格子やまっすぐな柱も、 デ・スティルのようなモダニズムのデザインとは全く違う文脈を持っている というのは、とても興味深いと思う。

High Back Chair に関してはもう一つ、「芸術愛好家の住宅」のミュージック・ルーム や Willow Tea Rooms などの写真から、テーブルを囲んで背板の高い椅子が向きあって いる様子が見られるのだけれど、椅子の背がちょうどパーティションのように テーブルのまわりの空間を小部屋のように仕切る形になっているのも面白かった。 単体で見た時には、なかなか気付かない。


Review 2000[Index]
Murata Ryoji - <ryoji@cc.rim.or.jp>
$Date: 2000/11/15$