やったもんがち芸術論
第1回

タイトル

大昔の芸術ってズバリそのまんまを作ってたから、タイトルもズバリそのまんま。 っていうかつけてもつけなくても、あんま変わんなかったんですよ。でも今では、 いろいろヒネったタイトルをつける人もいて、もう完全に遊んじゃってたりしますね。 タイトルなんて関係ないっていう向きもあるようですけど、せっかくいろいろ 工夫してくれてるんだし、これは楽しんじゃうのがお得。

そう、例えばマグリットの『これはパイプではない』っていうパイプを描いた絵。 ご丁寧に絵の中にまでそう書いてあります。確かに絵に火をつけても吸えませんが。 それからデュシャンって人はモナリザにヒゲを付け足して『L.H.O.O.Q』って タイトルをつけてますが、これ、早口のフランス語で読むと「彼女のお尻は熱い」 っていうなんかエッチな意味になるんですよ。けど「熱い」って言われてもなー。 ヒゲあるし。

タイトルじゃなくて自分の名前で洒落る人もいますね。実験的な写真をたくさん 作ったマン・レイという人がいるんですが、直訳すると「人間光線」ですからね。 スゴイです。あ、もちろん本名ではありません。

他にも『題名』ってタイトルをつけちゃう人もいれば、ちょっとここには書ききれ ないくらい長ったらしいタイトルをつける人もいます。かと思うとただの番号しか つけない人も。

でも今一番多いのはたぶん『無題』ってやつですかねえ。ま、余計なことを 考えずにじっくり見てくれってのは分かりますが、味もそっけもない気もします。

んで、明和電機の場合はご存知の通り。もう駄洒落の嵐。笑えるのもあるし、 ハズしてるのもあります。でもスカして『無題』にしたりはしないようですね。 もっとも、鯛が六匹で『六鯛(むだい)』なんてのを作らないとは、断言できませんが。

(1999/01/28)

追記


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Murata Ryoji - <ryoji@cc.rim.or.jp>