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July 29, 2006
現実のモノとセマンティック・ウェブ - 博物館資料の RDF
あいさつだけと言った舌の根も乾かぬうちにアレですが、ちょっとしたメモ - RDFとは何かに、
RDFはメタデータだけを扱うのではなくて、むしろ知識や世の中に存在するものごととその関係を記述するというのは、重要なポイントだ。
そう、それですよそれ! 実際に存在するものを、非中央集中的に…それは今の美術情報の目標にぴったりなのです。というわけで、東京国立博物館ではミュージアム資料情報 RDF ボキャブラリとミュージアム資料情報構造化モデルの RDF 表現を検討しておるのです。まだ最初の案の段階で、先日の研究会で早速いくつかご指摘というか突っ込みがあったので (rdfs:label をそういう風に使うのはどうなのか? とか)、まだまだこれから洗練する必要があるですが。
でもでも、博物館資料を RDF で出せれば、
元々は異なる目的のために異なる人々によって記述された知識・情報であっても、組み合わせて再利用することができるのだ。
博物館以外のコミュニティというか知識空間でも、すごい使いでがあるはずなんです! エキサイティングじゃないですか? だからセマンティック・ウェブなんて夢見すぎとか言わないでください(笑)。
投稿者 ryoji : 12:00 AM | トラックバック
July 28, 2006
ごぶさたしてますが
ちゃんと生きて働いてます。あんまり何も書かないでいると忘れられそうだし自分もブログがあるの忘れそうなので、暑中お見舞い申し上げます、とあいさつだけ。
いろいろ書きたいこと書かないといけないこと、あるんですが、ちょっと集中できなくて。近いうちにまた。
投稿者 ryoji : 11:24 PM | トラックバック
July 08, 2006
ジェフリー・サックス『貧困の終焉―2025年までに世界を変える』
ジェフリー・サックス『貧困の終焉―2025年までに世界を変える』(早川書房、2006年) を読了。
ボリビア、ポーランド、ロシアなど、様々な地域での実践を経験した開発経済を専門とする著者による本です。2025年までに「極度の貧困」を世界から無くすことは可能だということと、そのための方法を述べています。最貧国は「経済発展の梯子の一番下の段に足をかけることができない」ため、先進国の援助が是非とも必要であること、また援助というのはすでに約束されている (が、ほとんど果たされていない) GNP の 0.7% でよいこと。基本的なインフラストラクチャーと医療と教育、科学技術と適切な自由貿易、そういった条件をととのえることができれば、経済発展の「梯子」に足をかけることができ、あとは自力でのぼっていけるだろうこと。グローバルな協力のためには国連がイニシアチブを発揮すべきこと。実証的で大変力強い論述に、引き込まれてしまいました。
また、著者はよくある反応にも丁寧に応えます。
こういってはなんだが、アフリカの教育水準はあまりにも低く、他の地域でうまくいっている計画もアフリカでは失敗している。アフリカは汚職まみれで、独裁がはびこっている。現代的な価値観も制度もないので、自由市場経済はとても運営できず、成功はとうてい無理である。そうなると、いやでも暗い将来像が浮かんでくる。私たちの援助でアフリカの子供たちが命を永らえたとしよう。その先はどうなる? 人口爆発が起こり、腹をすかせた大人のアフリカ人が増えるだけだ。これでは何も解決しない。
ここまで読んでうなずきかけた人は、どうかこの先をじっくり読んでもらいたい。ここまでの文章は (…中略…) よくある考え方だが、まちがっている。(p.427, 強調引用者)
この本ではアメリカの政策についてもわりに言及しているのですが、日本が ODA に使ってるお金ってどれくらい? と資料(pdf)を見てみると、7,600億円くらい。GNP とだいたい数字が近い GDP が500兆円くらいらしいので、そうするとえーと、0.15% くらい。0.7% にはほど遠いですね。むー。ちなみに平成18年度予算では防衛費は4兆8000億円くらい。
この本、序文を U2 のボノが書いてるんですよね。宣伝効果としてはどうなのかよくわかりませんが。現実をしっかり見据えつつ希望を教えてくれるような、こういう本は本当に沢山読まれればいいんだけど…。でもミサイル騒ぎでまたぞろ「戦に備えよ!」と呼ばわる声が大きくなってて、なんかもう煽れるものは限界までとことん煽れって感じだしなぁ…。