Standing in the Future ─ 柔らかな未来を探す日

職場周辺の知り合いが何人か 参加している展覧会なので、ちょっと遠かったけれど行ってみた。 テレコムセンター周辺は、会社勤めしていた頃に時々行く機会があったのだけれど、 久し振りではある。

1999年末から年明けの数日間にわたっての、年越し展覧会で、会場でカウントダウン なんかもやったようだ。"Standing in the Future" という タイトルにも2000年というかつて未来だった地点に今いることを意識している らしい。個人的には2000という数字には何の感慨もないのだけれど、 この年末年始はやたらと意味を見いだしてしまう人が多かったように感じる。

そんな数字はどうでもいいのだけれど、作品には楽しめるものがあった。 去年観た _『エンプティ・ガーデン』 @ ワタリウム美術館_ や、 『取手リ・サイクリング アートプロジェクト』 にも参加していた 粟野 ユミト は、アトリウムの空間を効果的に使ったインスタレーション。 オーディオテープを吹き抜けの5階部分に張りめぐらせている。 下からは3次元的に見えてるのだけれど、その5階に行くと、 テープが水平な面をなしていることにかすかに驚いた。

佐々木 博輝 はガラスで囲んだ中に二重に丸く並べたフラッシュの光が、 それぞれ逆方向に回転する作品。会場の壁にできる影が面白くて、単純に視覚的に 楽める。ハデでいい。
木村 稔 は巨大な「非常口」のサインを立てている。こういうビルの通路には 非常口のサインはあって当たり前なので、空間が異化されているような いないような、そんな微妙さが楽しい。

展覧会の企画者でもある 高橋 治希 は写真作品。一つの地点から二つの方角を 撮影して、その風景の彼方に見える場所からさらに元の撮影地点とその逆方向を 撮影し…という具合に場所をつないでいく。パノラマ的な写真だ。 1999年と2000年をつなぐ地点から過去と未来を見る、という展覧会の発想に ちょっと納得。といっても、過去や未来が展覧会のテーマになってるという 印象は、出品作品からは感じられないのだけれど。

全体に玉石混淆という感じもするが、ほとんどが若い作家でもあるし、 今年最初に見る展覧会としては良かったかもしれない。


Review 2000[Index]
Murata Ryoji - <ryoji@cc.rim.or.jp>
$Date: 2000/1/8$