やったもんがち芸術論
第4回

自然の力

美術作品の中には、「自然の力」をうまく利用した作品があって、 これも昔とはちょっと違った考えかたなんです。自然と言っても 別に天然素材とか (それだったら大理石の彫刻も天然素材ですものね) 地球にやさしいとかいうことではなくって、 自然現象と言ったほうが近いかもしれません。

例えば広い広い平原に何百本も金属の棒を立てて、カミナリを誘導する作品。 前にお話しした「くっつける」ということで言えば、 空と地面をカミナリでくっつけるという、なんとも壮大な作品ですね。 あるいは、死火山に長い穴を掘って、中から空を見た時にある時間だけ 満月がピッタリ火口にはまるというプロジェクトもあります。 これ、18年に一回しかピッタリにならないらしくって、見るの大変そうなんですけど。

自然の力を利用してるのは、こんなビッグな作品だけじゃありません。 大理石の平らな板の上に牛乳をそーっとたらして満たす、 という作品があるんですけど、これ板の上に牛乳が盛り上がるんですよ。 そう、表面張力を利用してるんです。とってもデリケート。

明和の場合「宇宙の力を100Vに変えて」るってわけですが、 僕としてはここで『ニュートン銃』を挙げておきたいですね。 重力を利用して地球の中心を狙い撃ち。 ちなみに、逆向きに狙い撃ちしてるのが『雷来剣』なわけです。 (それにしても「撃つ」のがお好きなようで)

(1999/08/02)


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Murata Ryoji - <ryoji@cc.rim.or.jp>