« April 2006 | メイン | June 2006 »

May 30, 2006

Every Object Tells A Story @ V & A

Every Object Tells A Story というプロジェクトを V & A がやってる、ということを今年の2月にあった国際シンポジウム「世界の現場から 今、博物館教育を問う -家族・学校・地域に向けての取り組み-」の報告書を読んで知りました (これ一般に刊行されるのかな? とても面白いです)。

「あなたにとって特別な "モノ" についてのお話を聞かせて下さい」ということで、一般ユーザからその人にとって特別な「モノ」とそれについてのストーリーを集めているプロジェクトです。いいなぁこういうの。素敵。

もう一つ、今 V & A でやってるモダニズム展では "Create Your Own Poster" として、用意された素材を使ってユーザがこのモダニズム展のポスター作り、登録できるというもの。なんだか結構適当にやってもモダニズムっぽいポスターになってくれます。みんなの作ったポスターのギャラリーも楽しい。

むー、やはりすごいな、V & A。

投稿者 ryoji : 12:01 AM | トラックバック

May 29, 2006

ぞっとする

映画『ナイロビの蜂』 - "The Constant Gardener," Fernando Meirelles(dir.), 2005, UK.(imdb) を観たんですが。ええと、映画は結構よかったです。ラブストーリーと社会派サスペンスが緊密に組みあわされた、痛ましくも美しい物語が印象的でした。ケニアの風景にも心を魅かれるものがあります。音楽もよかったし。お涙頂戴的なところもあるかもしれませんが、品良く作ってあるので気になりません。Fernando Meirelles の他の作品は観てないので、City of God (2002) とかは観てみたいですね。あ、ところで物語で告発される製薬会社などによる国際的な不正義というのは、実際にもある模様。むう。

で、ぞっとしたのは別の話。恥ずかしい話ですが。映画の舞台がケニアだったんで、そういや最近 TFJ さんとこでアフリカネタの発言があったなーと思い読み返したんです。

あと、1996-1997 の First Congo War とそれに続く 1998-2003 の Second Congo War (周辺諸国を巻き込み第二次世界大戦後の戦争で最悪となる400万人近い犠牲者を出したことから「アフリカ大戦 (Africa's World War, Great War of Africa)」と悪名高い) についてもどうぞ。 アフリカ大戦はルワンダ大虐殺 (Rwandan Genocide) の延長という面もあるし、甚大な犠牲者を出していることからしても、もっと知られていいように思いますが……。

ん? 400万人? なにそのよくわかんない大きな数字? とぎょっとしたわけです。ルワンダの大虐殺に関連してコンゴで紛争があったことは知ってたんですが、そんなにヒドかったとは全然知りませんでした。ていうか、ルワンダ大虐殺の周辺の話題みたいな扱いでしか聞いたことがなかったんですよ。それだって、虐殺が起きてた当時は全然知らなかったわけですが。いやでもこのアフリカ大戦、なんでそんな大規模で、すさまじい犠牲が出てるのに、なんで僕は全然知りもしなかったんだろう。1998-2003 ってついこないだじゃんか。1999年にコソボ空爆があって。2001年に 9.11 テロがあって、アフガニスタンとイラクで。そういう時期ですよね。9.11 で 3,000 人の犠牲者が出て、たくさんの人達が「あの日を境に世界が変わった」って言ってた。コンゴ周辺では、その前後の5年間で400万人に近い死者。でもほとんど誰も話題にすらしなかった。犠牲者の数を比べてどうしようってわけじゃ全然ないですよ。だけど僕は、アフリカでそんな重大な危機が起きてたことに、気がつきさえしなかった。なんてこと。第二次大戦後に起きた最悪の戦争なのに、気がつかないなんてどういうこと? ルワンダ大虐殺だって、世間で話題になるようになったのは起きて数年経ってからだったと思いますが…。たとえばダルフールだって、テレビで扱われてるのは見たことないし (やってるのかもしれませんが、ごく稀ですよね…)。週刊誌やテレビで取り上げてるようなニュースやゴシップは嫌でも目に入るのに。うぅ、気持ち悪い。頭がくらくらする。

投稿者 ryoji : 01:15 AM | トラックバック

May 21, 2006

レ・フィルム・リュミエール DVD-BOX

レ・フィルム・リュミエール DVD-BOXというのを妻が購入したので、少し見てみました。フィルムはもちろん面白いです。が、このパッケージは非常に不満。

こんなの買う人は資料が欲しくて買うに決まってるのに、基礎的なデータが弱すぎます。附属の薄いリーフレットには、作品リストこそ載っているものの、制作年代もないし、そもそもどういう秩序で配列されているのかわからない。本編を見てみると、1本毎に入ってるタイトルなどから、これがフランスで1995年に France 2 などいくつかの団体によって制作されたものというのはわかります。そして1995年ってことはたぶん映画誕生100周年の記念事業か何かだったのでしょう。フランス語のナレーションで簡単な解説がついているので、ひょっとするとテレビシリーズか何かだったのかも。

でもこんなの推測にすぎません。フランス語で調べるのは自分には無理。だから、こういう情報は最低限押さえておいてほしいんですよね-。どういう経緯でどんな団体が共同してまとめたのか、それらのフィルムがどうアーカイブされてるのか、そういう基本的な情報が欠けてるので、せっかくこれだけ集めてある DVD-BOX なのに価値が半減だと思う。日本で販売するなら、字幕入れるだけでは全然足らないと思うのです。感想文みたいなライナー・ノーツはいらないから、大事なとこ押さえてほしいです。

投稿者 ryoji : 11:54 PM | トラックバック

May 17, 2006

シンポジウム「ミュージアム・ドキュメンテーションの新時代」

6月3日(土)、4日(日)にアート・ドキュメンテーション学会の年次大会・シンポジウムをやるです。

第17回アート・ドキュメンテーション学会年次大会

公開シンポジウム
「ミュージアム・ドキュメンテーションの新時代 ― 新しい風は、いつだって、西から吹いて来る ―」

日程:2006年6月3日(土)、4日(日)
会場:九州国立博物館
主催:アート・ドキュメンテーション学会、九州国立博物館

オレ実行いいんちょ。プレッシャーでおなかいたいです。

というのはさておき、昨年オープンした九州国立博物館の情報担当の東さん・道脇さん、連想検索で有名な NII の高野先生、指定管理者制度が導入された長崎歴史文化博物館の竹内さん、という、かなり充実した内容です。(あ、あと僕もしゃべります)

九州は遠いかもしれませんが、九博の見学もあるし、5日(月)に時間のとれるかたは長崎へのオプショナル・ツアーも用意してます。おトクです。当日は結構ホテルが混んでる様子なので、参加される方は早めに予約したほうがヨサゲです。

投稿者 ryoji : 01:43 AM | コメント (2) | トラックバック

May 16, 2006

中国雑技

TFJ's Sidewalk Cafe に中国雑技の話が。

芸能としての個々の演技については古代にまで遡ることができるけれども、 雑技という枠組で演じられるようになったのは やっぱり中華人民共和国成立後なんだなぁ、と。
TFJ's Sidewalk Cafe: Conversation Room

なんか雑技団のウェブサイトとか見ても「中国四千年の歴史」とかテキトーなコトしか書いてなくて呆れてたのですが、ちゃんとした研究書もあるんですね。高いけど…。でも、なんとなく回教徒方面から来てたりしないのかなー、という予想は外れてましたね (そういう人達もいたかもしれませんが)。そういや隋・唐代の芸能って伎楽なんかとも結構関係あるのかなー。伎楽面なんか、かなりエキゾチックな顔の人達がいますよね。

投稿者 ryoji : 12:58 AM | トラックバック

May 11, 2006

ジョン オルコック『社会生物学の勝利―批判者たちはどこで誤ったか』

ジョン オルコック『社会生物学の勝利―批判者たちはどこで誤ったか』(長谷川真理子訳、新曜社、2004/01) を読了。

社会生物学の勝利―批判者たちはどこで誤ったか

生物の様々な社会的行動を進化的に説明しようとしてきた社会生物学が、誤った非難や中傷をされながらも挙げつづけてきた様々な成果を紹介しつつ、そうした批判のどこが間違っているのかを丁寧に解きほぐしてくれます。社会生物学が扱ってきたいろいろなテーマそのものも面白いし、そういう考え方 (生物の社会的行動がどのように繁殖戦略に役立ってきて、その結果どのような行動様式や文化が発達したり、副作用が現れたりするのか、といった) も大変興味深いです。また特にこれが人間に適用されて、不倫の適応論的分析とかすると、社会科学者やフェミニストといった人達がどれほどあっさりと「自然主義の誤謬」に陥ってしまうかというエピソードも面白い。

多くの人は、セーシェルヨシキリのヘルパーやカワトンボの精子間競争を進化的に分析しても、とくに何の反対もしない (と言うか、悲しいことに、こんなことにはあまり興味がない)。しかし、これが進化と人間の話になったとたん、いとも簡単に怒声が飛び交うことになる。(p.195)

訳者の長谷川真理子については、長谷川真理子『オスの戦略メスの戦略』 (日本放送協会、1999年) をとても楽しく読んで以来、いくつか著作を読んでます。すばらしい書き手です。あと関連するところで面白かったのは、スティーブン・ピンカー『人間の本性を考える ~心は「空白の石版」か』 (NHK出版、2004年) でしょうか。

投稿者 ryoji : 11:55 PM | トラックバック

May 10, 2006

デジタル署名は案外ややこしい

TypeKey 認証なんかの仕組みを知ろうと思って、自分で DSA による電子署名をメッセージにつけるコードを書いてみたのです。でね、ネットで検索して見つかるサンプルコードって、たとえばこんな感じのとか、あるいはこんなのが多いんです。英語でもそう。共通してるのは、一つのプログラムの中で署名して、その同じプログラムで検証してるとこです。サンプルだからでしょうけど、電子署名を使うなら絶対ありえない状況です。あるプログラムで署名して、別のプログラムで検証するってことを実際にはやりたいわけで。何をどう渡せばいいのか知りたいわけで。

いろいろ検索して「電子署名≠秘密鍵で暗号化」というページに行きついたんですが、ここに書かれてるように「メッセージのハッシュを秘密鍵で暗号化したものを署名としてつけておき、受け手側は同様にメッセージのハッシュをとって、署名を公開鍵で復号したものと比較して検証する」という説明が往々にして DSA に対してなされてたりするわけです。僕はこのページを見るまで、「TypeKey の検証をするいくつかのオープンソースのコードを見ると、なんか違う気がするんだけど…謎…」と思いつつ、メッセージのハッシュを秘密鍵で…とすればいいんだと思ってました。このページを見てようやく納得。DSA はメッセージと署名と公開鍵のほかに、p、q、g という3つのパラメータを共有しなきゃならないんですね。そして署名そのものも r と s という2つの部分からなると。

こうなってくると、自分で署名して自分で検証みたいなサンプルでは全然役に立ちません。少なくとも、どれを相手に渡さなきゃいけないか (または共有しなきゃいけないか) は、そこからは読みとれません。例えば上に挙げたサンプルは Java ですが、それだと署名は ASN.1 という形式につめこまれたバイト列として得られるんですが、僕はそこから r と s を取り出す方法で数時間ハマりました。ASN.1 のバイト列のまま渡してもいいのかもしれませんが。でまぁ、結局 BerDecoder で取り出せたんですが…。なんかすごい無駄に苦労した感じです。元々ちゃんと暗号とか電子署名の勉強してた人なら変な思いこみをしないのかもしれませんけど。疲れた。

投稿者 ryoji : 09:39 PM | トラックバック

May 07, 2006

『東京―ベルリン/ベルリン―東京』 @ 森美術館

『東京―ベルリン/ベルリン―東京』展 @ 森美術館 を観てきました。日本からの出品は、わりとこの数年で他の展覧会で観た記憶のある作品が多くて、「再考:日本の近代絵画で観た」とか「写美の10周年記念に出てた」とか、ちょっと遡るけど「水戸芸の日本の前衛で観た」とか、なんだか神経衰弱みたいな見方をしてしまいました。

展覧会としてというのは置いておいて、タウトの桂離宮のノートとか、水谷武彦の作品とかはこれまで自分は観る機会がなかったので、そういう点では行って良かったですね。あと今和次郎という人、あまりよく知らなかったんですが、すげーオモロイ。くくく。それからボイス (没後20周年になるんですね) とパイクが草月会館でやったパフォーマンスの映像がかなり楽しめました。コヨーテ! モールス信号? なんだかよくわかりませんが。キャプションに年代がなかったんですが、84年でいいのかな? その隣にあった「ザワークラウト総譜」を弾くボイスの写真はウケてしまいました。ググってみると、こんな本人のコメントが。

全体性原則及び人間の独立性を呼びかけるためには、書きつらねられた文字にしがみついて楽譜を完全に再現するようなそのようなコンサートをおこなうのではなく、人間誰もが持っている独自の音楽性に戻ることが必要なのです。譜面台のコンサートではなく、キャベツによってコンサートをおこなう。このほうが、はるかに優れているのです。無批判に受け継がれてきたかたちにとらわれることはありません。 ボイスと川俣 ― 反全体芸術について

こう聴くとなんだかすごい。すごくない? いやすごいって。だってキャベツ (しかも酸っぱい) だもの。

ところで六本木ヒルズはデザインが悪くて道に迷うので、いつもイラつきますよ…。滅多に行かないからいいけど。

投稿者 ryoji : 01:34 PM | トラックバック

May 05, 2006

種まき

NHK『趣味の園芸』の再放送をたまたま見てしまい、そうだ今年もそろそろやらねば! ということで。すでに家の周りの 生物多様性を破壊 雑草を抜いておいたので、種を購入。越冬して恐しく生長してしまったルッコラも引きぬき、掘りかえして種まきです。レタス、サラダ菜、ルッコラをまぜこぜにしてまいたものと、小松菜をプランターに。2週間もすればサラダが食えるでしょう。

ところで、やらないけれども何故か憧れる趣味、というものに釣りがあります。釣りなんてほとんどしたことないんだけど「趣味が釣り」ってなんかイケてるなー、と思ってるんですが、実際にはやらないし、やりたいとも思わない (この感覚伝わるかなぁ?)。たぶん気が短かいので待ってられないんじゃないかなーとか。一方園芸なんて全然イケてる趣味と思えないですが、どう見てもこっちのほうが向いてます。やっぱ農民なのかオレ。園芸だって気が長くないと、と思われるかもしれませんが、作業中は待ち時間というのが基本的にないんですよね。手を動かすときにパーっとやって、あと放置。現場で待ってる必要はないです。釣りのようなハンティングに類するものは、じっと獲物を待ちかまえないといけないわけですよね。で、それができない。そういや学生のころに農家でバイトしたことがあるんですが、田植の時期なんてものすごい忙しくて仰天しましたよ。苗持って走るんだもの。

んー、まあ別になんでもいいや。はやく食べたいなー。

投稿者 ryoji : 07:30 PM | トラックバック