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February 28, 2005

『河野鷹思のグラフィック・デザイン』 @ 東京国立近代美術館

こないだの日曜に、東京国立近代美術館で『河野鷹思のグラフィック・デザイン』を観てきました。最終日の閉館間際ということであわただしく観てしまいましたが、なかなか素敵でしたよ。自分の好みからすると、やはり1930年代の映画のポスターあたりから、雑誌『NIPPON』あたりがイイですね。村山知義とか、あの辺の時代のものの雰囲気ってなんか好きなんですよね。あと戦後のものでは、「さかな」シリーズがかわいくて好きです。


『痕跡 ― 戦後美術における身体と思考』
のほうもわたわたと観ましたが、カタログが買えず(売り切れ)、しかも出品リストも今回は作ってない(ナゼー?!)とのことで、ちょっと気になったアノ作品が誰のなんて作品だったのか、もうわかりません…。しくしくしく。

投稿者 ryoji : 11:29 PM | トラックバック

Left Alone

井土紀州(dir)『Left Alone』 @ ユーロスペース。part2 を観ました。

LEFT ALONE―持続するニューレフトの「68年革命」

うーん、part1 から観なくても別に問題はない感じでした。でもいつかは観なくては…。

本も出てるので(そして買ったので)、またゆっくり読んでみようと思いますが、こういう映画でインタビューを見るというのは、文字からは伝わりにくい、彼らの感情の機微みたいなものが伝わってきて、そういう意味でよかったかな、と。ま、あまり革命とか運動とかよくわかりませんし、津村喬とか全然知らなかったし(不勉強)。

何か他の本でも読んだけど、柄谷行人が「くじ引きでも市民通貨でもそうだけど、心の問題にすることを避けたい」「システムとしてそれを解決したい。そうでないと必ず心理的な問題になり、糾弾になる」っていうのは共感しました。スゲー正しいな、と。

でもたぶん、今の若くて頭イイ人達にとっては、思想とかってあんまり面白そうじゃないのかな、とか、ふと思ってしまいました。いや、なんとなく。

投稿者 ryoji : 01:34 AM | トラックバック

Matthew Bourne's "SWAN LAKE"

マシュー・ボーンの SWAN LAKE @ Bunkamura を観てきました。「白鳥の湖」です。アレです。チャイコフスキーのやつです。といってもコレは白鳥が全部男性というやつ。1995年に初演というので、もう10年目になるんですな。

こないだまで白鳥の湖とか聞いても最初に連想するのが志村けんとかドカベンの殿馬だったんですが。当然普通の白鳥の湖も観たことないんですが、それでも、むちゃくちゃ面白かったですよー。わかりやすいし、力強く美しく、しかも笑える!最初の1幕目がかなりコミカルなので、入りやすいです。Swank Bar 最高。もちろん2幕と4幕の白鳥たちもすごく見せてくれます。ドテドテ登場する4羽の白鳥も超カワイイし。ストーリー的には、王子と白鳥と女王といったキャラクター、夜、誘惑といったモチーフでオリジナルを下敷にしてはいるものの、全然違う話ですね。

しかしやはりラストがすごい、オモロオソロシイ感じでホント良かったです。白鳥が、オリジナルでは人間が白鳥に変えられてるんですが、これはあまり白鳥が擬人化されてない、という印象です。すごい動物っぽいというか、本能で行動してて何も考えてないだろオマエ、って感じ。それがガッチリ身体的に表現されてて、有無を言わせぬ説得力でした。でも4幕はコワかった(そして笑った)。トリ怖えー。あー、羽毛ふとんがー、という(謎)。

投稿者 ryoji : 01:16 AM | コメント (3) | トラックバック

February 27, 2005

研究会

アート・ドキュメンテーション研究会 第45回研究会で、しゃべります。

コレクション・ドキュメンテ-ションの系譜を定着させるために
-日本のミュージアムの中での使命と技術を考えるー

美術館・博物館への情報システムの導入が活発化していく中で、アート・ドキュメンテーション研究会では、これまでに3回、コレクション・ドキュメンテーションについての研究会を開催してきました。

今回の研究会では、その中で語られてきた諸問題、とりわけシステム以前の問題点について再確認するとともに、コレクション・ドキュメンテーションの必要性や重要性を、この分野に関心を持つ人々だけではなく、美術館・博物館界の全体や市民社会に、どう広げていけば良いのかについての知恵を語り合う会にしたいと考えます。美術館・博物館の内外を問わず、出来るだけ多くの「理解者」を育て、そのネットワークを広げていくことの第一歩となることを期待したいと思います。

僕は「美術館における資料情報システム」として芸大美術館のデータベース開発の経験から考えたことを話す予定です。開発やってる人とかドキュメンテーションやってる人だけでなく、美術館に関心のあるいろいろな人に興味を持ってもらえるような話をしたいと思っています。特に、僕が芸大美術館のデータベースでやろうとしたことが「バーチャルミュージアム」とか「高精細画像アーカイブ」とかとどう違うか、山形浩生風に言えば「アレじゃございません」的な話ができれば、と思ってます。
参加は無料ですが、事前の申し込みが必要なので、もし聞いてみたい人がいらっしゃったら研究会のページからメールで申し込みをどうぞ。

投稿者 ryoji : 01:31 PM | コメント (1) | トラックバック

February 26, 2005

見逃し

Left Alone、part1 の最終日、超満員で立ち見もできず、観られませんでした。ううー。
今日から part2 なので、とりあえずそちらを観る予定。

投稿者 ryoji : 01:27 PM | トラックバック

February 23, 2005

細野不二彦『ギャラリーフェイク』

大人買いして読んでます。

ギャラリーフェイク (1)

よく調べてありますよねー、これ。キチっと取材してるって感じです。ちょっと大げさだな、と思うところも時々ありますが、それも全然許容範囲。美術業界の描写も結構リアリティあるし(自分の知ってる範囲では)。しかしアメリカ帰り28才女性しかも美人の三田村館長というキャラはさすがに無理があるような(もしもこんな人が現実いたら、ものすごい苦労するに違いないと思う)。漫画だからいいけど。あとあれ、国宝Gメンの知念さん、イイです。気になるのはギャラリーフェイクが埠頭らしき所にあるところ。さぞ潮風対策が大変でしょうね(ニセモノばかりだから良いのか?)…。

投稿者 ryoji : 10:57 PM | コメント (4) | トラックバック

February 22, 2005

和暦コード発生システム

東大の史料編纂所和暦コード発生システムなるものが。アルゴリズムもコードの意味もわかりませんが…(推測はできますが)。でも閏月をはさんだりするやり方って他でもときどき見ます。なんか標準的なソリューションってないのかしら。

参考:
W3C-DTF
プログラミングと暦
Yet Another Date Class
DCMI Period Encoding Scheme
Humdrum Toolkit Representation Reference - Time Period

投稿者 ryoji : 05:39 PM | コメント (2) | トラックバック

February 21, 2005

考古学替歌

考古学替歌集より。

(速見優「夏色のナンシー」で)
土器かなyes!  土器じゃないyes!
石かなyes!  石じゃない
土を掘るたび  気分もゆれる
そんな年頃ね

ウケた。

投稿者 ryoji : 01:08 PM | コメント (1) | トラックバック

大きい画像のための Bookmarklet

画像ビューアのやつ(名前考えろよ)、ブックマークレットにしてみました。

LargeImageViewer

表示してるページのうち一番大きな画像を使います。画像だけが表示されていればそれを使います。Firefox でしか試していません。

そもそもこれ、自分自身が結構 Web から大きな画像をみる機会がありまして、スクロールバーで表示位置を調整するのがスゲー嫌な感じ、というのが動機です。ですんで正直自分で使うことしか考えておりません…。でも勉強になりました。縮小とか、もうちょっとやりたい気もしますが、飽きてきました :-)。やるとすれば IE でサムネイルでの表示位置調整を直すくらいかなぁ。

投稿者 ryoji : 12:55 AM | コメント (3) | トラックバック

February 18, 2005

Viewer その後

改めて Image Viewer を作りました。一応 IE 6でも動きます(小画面の枠を使った表示領域の移動ができませんが)。URL指定で好きな画像で試せますが、どうも画像を入れ替えたときの挙動がおかしいです。なかなか難儀やなぁ。

ブックマークレットにしたいんですが、作り方調べなきゃ。うー、作業のトロいことよ。飽きずに完成させられるかしらん。ローカルの画像も扱えないとあまり嬉しくないなぁ、と思ってたのですが、セキュリティ的にダメっぽい。そりゃそうか。

投稿者 ryoji : 12:42 AM | コメント (2) | トラックバック

February 15, 2005

とりあえずビューア

Annotated Image Viewer はちょっと頑張ってみた分 web kanzaki のやつを見落してたのはショックでしたが(涙)、まあこれで Annotation まわりは再発明しなくていいってことさ、と前向きに。

大きな画像 (といっても一度に読み込めない程じゃないもの。せいぜい数千 pixel 四方) のためのビューアの機能にとりあえず集中してみます。小さな画面にサムネイル出してナビゲーション、とか、何段階かにズームとか。

…ん。それってデカい画像に出あったときのためにブックマークレットとかにしておくと良さげ。

投稿者 ryoji : 02:15 AM | トラックバック

February 14, 2005

うお、そのまんまだった

http://www.kanzaki.com/にある「Image Annotator - 画像メタデータの生成」ってそのまんまじゃん。しかもよくできてる。見落としてた…。がっくり。

投稿者 ryoji : 10:46 AM | トラックバック

ハックしてみた

この週末に遊びで Annotated Image Viewer (注釈付き画像ビューワ、IE非対応) というのを作ってみました。画像をドラッグして表示位置をかえたり、範囲を選択して注釈をつけたり。まだ全然機能もたりないし問題もあるけど、まあ遊びなので。これで保存とかできると楽しくなるかもしれないなぁ、とか。

コード書くの久しぶりだったので楽しかったです。やー疲れた。作るのにやけに時間かかったけど、DHTML っていうんですか、ああいうの初めてなので、ま、こんなもんでしょう。慣れてる人ならもっとサクっとできるんだろうな。どうも GUI って慣れなくて。

それにしても。書いてる途中で足し算引き算を間違えすぎです自分。ホント数字に弱いんだなぁ…。

投稿者 ryoji : 01:28 AM | トラックバック

February 12, 2005

Google Maps

あちこちで話題になってる Google Maps ですが、いやーさすがです。こりゃあ大変よろしい。e国宝とかもああいうのにできないのかな。館内で観られるやつは GIGA VIEW のプラグイン使ってて結構イイ感じではあるんですけどね。
んで、さっき自分でも簡単な JavaScript でページ内の枠に大きい画像をクリップして表示して、マウスドラッグで動かすみたいのを作ってみたんですが、楽しいです。分割読みこみとかすんのは面倒くさそうだけど、これで画像にアノテーションを付けたいなぁ。

それと Google Maps 見てて「こんなののデモをどっかで見たような…」と思い出したのが iPalletnexus 。これも結構面白いソフトなんですけど、今見てみたらスタンドアローンでしか動かないみたいですね。残念。もったいないよなぁ。これやってる堀内カラーは硝子ビューなんていう面白い古典籍閲覧ツールを作ってたりするところなんですが。

iPalletnexus もそうだけど、デカい画像をサクサク閲覧しながらアノテーションをうまくつけていけたら、やっぱり楽しそう。こんな感じでツールチップみたいに出してもいいかもしんない。とか、Annotea とかと何か連動するとか(全然わかってなくて書いてますが)。つけたアノテーションにどんどんスレッドで突っ込み入れたり、皆がつけたアノテーションを一度に表示したりとか。アノテーションで画像を検索したりとか。なんだー結構楽しいことできそう。誰かやって(違)。

投稿者 ryoji : 03:39 AM | コメント (6) | トラックバック

February 11, 2005

検索結果がシラバスだらけ

博物館学関係の用語とか、分野の呼び方とかで検索すると、大学のシラバスばっかりが引っ掛る。あー、誰も何も Web には書いてないんですかそうですか。それか、制度と資格があるがために大学でやってる所は多いんだけど、大学の授業以外の場であんまり展開されていないということなのか…。

投稿者 ryoji : 01:00 AM | コメント (1) | トラックバック

図書館ミュージカル

サイコドクターぶらり旅より。イイです。

投稿者 ryoji : 12:15 AM | コメント (1) | トラックバック

February 09, 2005

DC Agent

Dublin CoreAgents Working Group というのがあるらしい。で、そこに Functinal Requirements for Describing Agents のドラフトがあった。まだまだこれからという感じらしいけど。

投稿者 ryoji : 04:42 PM | トラックバック

OAI-PMH

OAI-PMHのNIIメタデータ・データベースへの適用について

Open Archives Initiative Protocol for Metadata Harvestingについての情報と、NII のプロジェクトについて。OAI-PMHもよく知らないので、まずは日本語で読んでおきたい。

投稿者 ryoji : 01:42 PM | トラックバック

名称典拠

典拠についていろいろ。やはり図書館方面には歴史があるので、参考になりそうなものがいろいろある。

IFLA はMandatory Data Elements for Internationally Shared Resource Authority Recordsというのを 1996 年に出している。それから Structures of Corporate Name Headings というのも 2000 年に出ている。2001 年には Guidelines for authority records and references (PDF) が。

また OCLC 方面では Virtual International Authority File というプロジェクトがあるらしい。

それと美術関係は、もちろん、Union List of Artist Names が。どーしてこういうのが日本でできないかなー。

投稿者 ryoji : 12:16 AM | トラックバック

February 04, 2005

バレエ観てみました

仕事帰りに、職場の近所の東京文化会館でジョン・ノイマイヤー | ハンブルグ・バレエの「ニジンスキー」を観てきました。遅めにチケットとったわりに正面(4Fだけど)の席で観やすかったし、楽しめました。タイトルのとおりロシア・バレエの伝説的ダンサーであるニジンスキーを題材にしたバレエで、有名な作品のいくつかを演じている場面なんかもあるのですが、回想というか幻想を見ているような設定で、踊っているニジンスキーとそれを見ているニジンスキー、さらにいろんな役のいろんなニジンスキーが出てきて、結構複雑です。それにニジンスキーが演じたバレエの演目やディアギレフとの関係とか、背景に結構知識が要りそうな作品ではありました。

でも面白かったです。こういうバレエを観るのは初めてなのですが、やっぱりダンサーってすごいよなー、というのと、これまでの少ない舞台鑑賞歴ではハズレ率が高かったので、しっかりしたのが観られて嬉しいですね。ただ、自分がほとんどバレエを観たことがなかったので、記号とか慣用句みたいなものが全然わかってないんですよね。そういう面で教養のためにも、今度は古典を観てみたいです。

えー、あの、もちろん有吉京子『Swan』にハマったせいで観てみようと思ったんですが、案外これは続くかも、という予感です。もう最近は、古美術中心の職場になったりとかしてるし、別にコンテンポラリーにこだわる気持ちもないですから(好きですけどね)。

投稿者 ryoji : 12:21 AM | トラックバック

February 02, 2005

溝口理一郎『オントロジー工学』

オントロジー工学


ドメイン・オントロジーの勉強
とかしてるので、ズバリなタイトルの本を買ってみた。前半は開発方法論やアプリケーションの話が中心で、実用的にふむふむ読んだのですが、後半が困ってしまいました。オントロジー基礎論ということで、基礎的な問題を扱っていく、というのだけれど、「表現のオントロジー」として創作(音楽や美術や文学)の分析をしはじめるところで、つまずいてしまいました。つまずいた、というより、ついていけなくなった、というか。オントロジー開発ってオブジェクト指向分析によく似てるし、それって記号論的な概念分析にもそっくりだと僕は思ってるんですね。例えばこの本で「楽曲のインスタンスは楽譜か演奏か」みたいな問いがあるんです。で、僕はだいぶ前に増田さんの「ポピュラー音楽における「作品」とは何か」を読んでオブジェクト指向っぽいなーと思ったことがあるんですが、これを荒っぽくしたような議論が展開されるんですよ。なんか記号論の復習してるみたいでまわりくどーい、という感想と同時に、こういう議論をしていて著者が期待する(しているであろう、かな?)ような「専門家によるごく少数のトップレベル・オントロジー」にはとうてい辿りつかないんじゃないかな、と。いや、直感的にそう思うだけですが。だって作品概念の分析自体、こうして美学の研究の対象にもなるわけじゃないですか。そんでこの手の研究によって、作品なら作品の概念規定がどっかに収斂していくとは思えないんですよね。なんとなくですけどね、あくまで。どうも僕が構造主義の子供(謎)だからか現代美術なんて変な分野に関ってたからかはわかりませんが、不用意に「本質的」とか書いてあるとそれだけで違和感を感じてしまうし…。うーむ。

文学についても例えば「源氏物語は何の上に書かれたかということとは独立した概念であり」みたいなことは、図書館の世界では IFLA の Functional Requirements for Bibliographic Records なんかで Work - Expression - Manifestation - Item の4層モデルとしてかなりきれいに分析されてますが(オントロジーじゃないですけど)、これを博物館で使えと言われたら冗長すぎてヤになっちゃうんですよ。だからわざわざ別のモデルを作ってマッピングをしてるのです。これはドメイン・オントロジーですが、表現の問題がバッチリ密着してるんで、著者がトップレベル・オントロジーに必要と考えてる「表現のオントロジー」と関係が深くなっちゃうんですよ、どうしても。だから、合意できない前提がどんどん積みあがっていくのには、ついていけなくなってしまうんですよねー。

もちろん著者も「解の提案にすぎない」と断わってるんですけどね。しかし、僕自身は結局のところ徹頭徹尾工学的近似っていうか、まあ使えさえすれば「本質」のことなんか忘れてしまえ、という立場なのだなぁ、と、逆に実感したのでした。

自分が工学の人に期待するとすれば、開発方法論もですが、OWL のようなオントロジーの相互利用の領域と、メタモデルの領域でしょうか。「WWWの人々は極度に集中管理を嫌う。一方 AI 出身の人々は自由放任のタグを使って意味処理ができるわけがないことを知っているので、何らかの制御/管理が必要であると考えている」とのことですが、ここら辺、まとまって読めるものないかなー。

投稿者 ryoji : 12:10 AM | トラックバック