May 17, 2010
icu4j で和暦の parse
何回かやってるんだけど、忘れてしまうのでメモ。
IBM の国際化ライブラリ ICU のは、数値や通貨やカレンダーの国際化に役立つライブラリ。Java 用には icu4j がある。博物館のデータではあちこちに和暦が登場するのだけれど、西暦に変換したいこともよくある。で、Java SE 6 では JapaneseCalendar で元号がサポートされたとはいえ、明治以降だけなので全然使えません。というわけで、icu4j を使って日本の元号で書かれた年代を西暦(グレゴリオ暦)の普通の日付に変換するコード。
JapaneseCalendar jcal = new JapaneseCalendar(); DateFormatSymbols dfs = new DateFormatSymbols(jcal, Locale.JAPANESE); DateFormat sdf = new SimpleDateFormat("Gy年M月d日", dfs); sdf.setCalendar(jcal); Date date = sdf.parse("天保11年1月1日"); System.out.println(date);
結果は、
Wed Jan 01 00:00:00 JST 1840
と。ただこれ、元号だけでいわゆる旧暦(太陰太陽暦)のことは、というかつまり月日までは考えてません。自分の仕事ではそこはあまり問題になることがないので…。
投稿者 ryoji : 05:30 PM | トラックバック (0)
December 30, 2009
2009年に印象に残った展覧会
今年もそんなに沢山は観られなかったのですが、強く印象に残った展覧会がいくつかあったので備忘を兼ねて。
まず筆頭に挙げたいのは、「画家の眼差し、レンズの眼」@神奈川県立近代美術館葉山館です。19世紀の日本で洋画、写真、印刷の受容が一挙に進んでいくという時代の背景の中で、それらが美術とどのように関わりあっていったのかを検証したもの。メディア環境と視覚の変容という興味深いテーマを真正面から扱った展覧会で、自分にとっては発見も多く、非常にわくわくする展覧会でした。ここしばらく、近代日本美術については、様々な角度からの再検証が行われて展覧会などで成果を見せてくれていますが、この展覧会もそうしたものの一つとして素晴しいと思いました。もう、これこれ、こういうの観たいんだよ僕は!という感じです。
次に、年末に観たばかりなので印象が強いというのもありますが、「文化資源としての<炭鉱>展」@目黒区美術館。こちらはあちこちで話題になっていたとおりで、炭鉱という主題からのアプローチがこれほど豊かに結実するとは、単純に驚きました。元坑夫の絵の率直な眼差しの強さや、画家や写真家が炭鉱に見たものの広がりが、ストレートに伝わってきて、展覧会にはこんなこともできるんだなぁ、と思わされました。
それから東京国立近代美術館での「ヴィデオを待ちながら」。ビデオアートを自分が勉強していたこともあって、ある程度背景は頭に入っていた状態で観たというのもありますが。しかし単純に、カタログや図版では作品の様子がほとんど掴めないビデオアート作品をまとめて観られる機会として、とても貴重だったと思います。またカタログにもロザリンド・クラウスらの論文が載っていますが、やはりフォルマリズム以後の批評との関わりという面でも、かなり知的な面白さもありました。
また、コレクション展で特によかったと思うのは「かたちは、うつる」@国立西洋美術館です。50周年記念事業のこの展覧会では、同館が形成してきた版画コレクションを「うつる」というキーワードを手がかりに俯瞰しようとするものです。「うつる/うつす」というのは日本語ですが、映像(この言葉もまたピッタリ重なる英語には訳せませんが)というものの性質をよく表しているし、それを複製技術である版画において観ていくのもうまく嵌っていたと思います。完成度の高いコレクション展でした。まあ単純にデューラーすげー、ゴヤすげー、というのもありますが。
最後にもう一つ挙げるとするなら、「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代」@府中市美術館でしょうか。ラムスの考え方やスケッチや原則も面白かったのですが。それよりなにより、もうとにかくかわいい。欲しい。このプラスチックの質感がっ!みたいな個人的なフェティスズムを刺激されまくりの展覧会でした。
特に強く印象が残ってるというと、だいたいこのあたりでしょうか。やはり基本的には、なにかチャレンジングなところのある展覧会が観ていて面白いです。出品されている作品の良さと、展覧会としての面白さはやはり別というところがあって。素晴しい作品との出会いも嬉しいものですが、それと同じくらい知的な刺激があったり思考を促されたりする展覧会が好きなんですよね。来年もそういう展覧会をたくさん観たいものです。
投稿者 ryoji : 11:33 AM | トラックバック (0)
November 08, 2009
EXHY 修正
展覧会チェッカ EXHY を一部修正しました。ログインしてなくてもデータをちゃんと見れます。例えば、
いま僕がチェックしてる展覧会の日程
終わりそうな展覧会から順に表示されています。
チェックした展覧会場の地図
カレンダで日付を選ぶと、その日やってる展覧会の会場の配置を地図で見れます。ハシゴ計画に便利。
ただし、休館日などはデータにないので、正確には「その日が期間中に含まれる展覧会」ですけれど。
ただまあ、いかんせんやはり入力するのは手間なんですよねー。ブックマークレットを使えば多少はマシですが、会場、タイトル、日付と最小限にしていても、やっぱり沢山チェックしようとすると手間だなーと。他の人が作ってくれてるデータにチェックを入れるだけなら簡単なんですけど。だからまあ、やっぱりユーザが増えると段々楽になっていくハズではあるんですが。
といいつつも、自作だけあって Tokyo Art Beat や bloc よりも自分好みには出来てるので、当初思ってたより使ってはいるんですけどね。
投稿者 ryoji : 10:10 AM | トラックバック (0)
November 07, 2009
Twitterはじめました
のでお知らせします。
投稿者 ryoji : 09:33 PM | トラックバック (0)
November 05, 2009
展覧会チェッカ
ごぶさたしてます。こんなものを去年の今ごろに作って、ぼちぼち使っています。
EXHY
http://exhyby.appspot.com/
ヘルプ:
http://exhyby.appspot.com/help/index/
展覧会のデータを入れてチェックしとくと、個人用の日程表とか地図とか見れるというツールです。でもその辺の画面は、今の状態だとログインしないと見られないですね…。Googleアカウントで登録できます。
興味のある方は使ってみてください。詳しくはまた近いうちに。
投稿者 ryoji : 12:06 AM | コメント (2) | トラックバック (0)
September 19, 2008
ベネッセハウス
さて、丸亀から電車を間違えて瀬戸大橋を渡ってしまったものの、なんとか岡山側からフェリーで直島まで移動できました。直島のフェリー乗り場から、初日の宿泊場所のベネッセハウス・ミュージアムまでバスで移動。部屋は Sol LeWitt の作品があるので選んだのですが、眺めもとてもいいし、バスルームからも海が見えるという贅沢なつくりでした。
バスで移動しながら、途中にある小中学校や、ちょっと変わった役場の建物、本村周辺の民家の様子などが見えました。来る前は、「島」というイメージからもっとさびれかかった雰囲気を何となく想像してたのですが、全然そんなことはなくて、むしろ元々結構経済的にも豊かな島のように感じられました。ベネッセハウスがあるエリアは南側なのですが、ちょうど反対の北側には三菱マテリアルの精錬所があるんですね。あとで家プロジェクトを回ったときに地元ボランティアの方が「この島はベネッセとかよりも、もともと三菱でもってるようなものだ」というようなことをおっしゃっていました。確かに三菱マテリアルのサイトにある年表を見ると、1917年にはすでに三菱の中央精錬所として設立され、翌年には反射炉の創業が開始されています。と、いま年表を見ていて気づいたのですが、1918年に「粗銅産出月300T産開始」とあります。旅行の3日目には犬島に行ったのですが、こちらも銅の精錬所ですが、銅価格の暴落により1919年には操業を停止しているんですよね。三菱の精錬所は暴落を乗りきったということなんでしょうか。このあたりの事情がもっとわかると面白そうです。
さて、ベネッセハウス・ミュージアムは美術館にホテルがついているような、ホテルに美術館がついているような、不思議な施設です。いずれにせよ今回泊まってみて思ったのは、これはここに泊まって美術館を楽しむのがやはり良いな、ということ。周囲も含めてここは完全にいわゆるリゾート地になっているわけですが、リゾートで休養をとるという体験のなかに美術がある、という枠組みで見るのが、素直というかストレートな楽しみかたのように思います。部屋で休んだ後も夜遅くまで作品が見られるとか、そういったところまで含めてのアートサイトという気がします。
館内の作品では、やはり杉本博の写真が屋外の壁面に展示されているのが驚きでした。こんな所に写真作品を置くなんて、もういつダメになっても構わないということですよね。なんという贅沢。しかし明い陽光の中で海の風景と一緒に見る杉本の水平線には、確かに他では味わえない感覚があります。もう一つ気に入ったのはジェニファー・バートレット (Jennifer Bartlett) の《黄色と黒のボート》。海岸に黄色と黒のボートが描かれた絵画と、その絵画の前に置かれたやはり黄色と黒のボートの実体が組合された作品なのですが、実は野外の本物の海岸にも、やはり同じボートが設置されているんですよね。こういう作品はわりと好きです。
またミュージアムから小さなモノレールで上にあるオーバルという宿泊施設に上がれます。こちらには泊まらなかったのでもちろん中は見られませんが、建物を見るだけでもなかなか面白かったですよ。楕円形の開口部から見える空も、その真下にある水もすがすがしいし、開口部の上にまわれば芝生が敷いてあったりして、とても凝ったつくりでした。
2日目と3日目に泊まったのは、ちょっと離れた場所にあるパーク。こちらはロビーやラウンジに作品がありますが、ほぼ完全にホテルですね。使った部屋には李禹煥のリトグラフがかかっていました。部屋からビーチが見え、その手前の開けた場所にニキ・ド・サンファールなどの彫刻があります。ニキの彫刻って、こういう所にあるととても表層的に見えるというか…。あと草間彌生のかぼちゃの所には、いつも人が集っていました。
食事もよかったし、部屋も居心地よかったです。あと部屋にはテレビがないんですよね。普段結構テレビをつけっぱなしにしてることが多かったのですが、テレビがないとそれだけでとても静かに過ごせるのだ、ということに嫌というほど気づかされました…。
投稿者 ryoji : 11:35 AM | トラックバック (0)
September 15, 2008
金刀比羅宮と丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
金刀比羅宮は琴平駅から歩いて向いました。下からでも山の中腹に旭社と本宮の屋根が見えて、結構上のほうだなーと思いながら登っていったのですが、実際歩いてみると遠いのなんの…。天気もよかったので、汗だくになって登りました。本宮まで登ると、とても眺めのいい開けた場所になっていて気持ちいいです。神社にドンヨリ系とサワヤカ系があるとすれば(謎)、こんぴらさんはサワヤカ系の典型だと思います。金色のお守りがズラっと並んでたりするのもきれいだし。あと、ここは海の神社でもあるんですね。船や漁師の関係の絵馬なんかが沢山ありました。面白い。あと何故か聞き覚えのある「シュラシュシュシュ♪」ってここの民謡だったんですね。
帰りは、資生堂パーラーで一休みしてから下りました。普通なら目当てのはずの書院の円山応挙も高橋由一も今は作品がないので見られませんでした。別の機会があればまた是非来たいと思います。
次に行ったのは丸亀市猪熊弦一郎現代美術館。谷口吉生の設計であることでも有名な美術館で期待していったんですが、最初におどろいたのは駅のすぐ前にあったこと。ほんとに駅を出たらすぐにあるんですよ!そこがまず何よりも素晴らしいと思いました。いやあ、美術館はこういう場所になくちゃいけません。街から離れた場所の美術館って、それが良い場合もあると思いますけど、日本でももっと街のど真ん中に美術館があるべきだと思います。
建物の空間は、明るくてひろびろとした開放感のあるもので、自由な雰囲気の猪熊の絵とよく調和しています。ほんと、こういう美術館が近所にあるなんて、丸亀の人たちがうらやましいです…。
企画展はピピロッティ・リスト (Pipilotti Rist) 「ゆうゆう」。なんか JR と協力して「JR四国の6000系電車車内に、ピピロッティ・リストがいたずらをしかけました!」とのことなのですが、時間が合わず、残念ながら見られませんでした。電車にしかけ、というと昔ジェニー・ホルツァーが水戸芸でやったときにスーパーひたちにメッセージを出してたのを思いだしましたが、ピピロッティ・リストはどんなことをしたのか、非常に気になったのですが…。
投稿者 ryoji : 10:26 PM | トラックバック (0)
September 14, 2008
香川・直島めぐり
9月10日から3泊4日で香川県に旅行してきました。忘れないうちに旅程をメモ。
9月10日
香川空港からバスで琴平へ。金刀比羅宮にお参り。書院の応挙も高橋由一館の由一作品もギメに行ってて無かった…。次の機会には是非。うどんを食べて、次に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館。それから高松からフェリーで直島に渡るつもりが、乗る電車を間違えてしまって瀬戸大橋を渡ってしまいました(ひどい)。で、そっち側から直島までフェリーで移動。一泊目はベネッセハウスのミュージアム。大好きなソル・ルウィットのリトが掛かった部屋でした。
9月11日
港近くの小さな小さな「ふじ食堂」まで出ていって朝食。戻ってすこし休んで、ミュージアムの作品を拝見。それから野外作品を見ながら地中美術館へ。その後ぶらぶらと2日目以後の宿泊をするベネッセハウスのパークへ。こっちの部屋には李禹煥のリト。散歩などしてゆっくり過しました。夜はこちらのレストランで洋食。
9月12日
朝食をとってから、小型船で犬島へ。犬島アートプロジェクトの見学ツアーに参加しました。暑かった。午後は直島に戻って家プロジェクトを鑑賞。夕方、残りの野外作品を見ながらミュージアムへ移動、和食の夕食をとりました。
9月13日
チェックアウト後、ミュージアムのカフェで軽い朝食をとり、港へ。高松までフェリーで移動して、まずうどん。バスでイサム・ノグチ庭園美術館。高松までもどって空港へ。
わりと盛り沢山だったと思いますが、日程的には余裕がありました。個別の感想などはまた。
投稿者 ryoji : 06:40 PM | トラックバック (0)
January 17, 2008
アメリカ議会図書館が flickr に写真を公開
flickr に LC のページができてます。3000枚ほどを試験的にやるようですね。個々の写真には、結構きちんとしたディスクリプションがついてる。さすが。
Library of Congress Photos on Flickr (Prints and Photographs Reading Room, Library of Congress)
たしかに沢山の人にタグをつけてもらうとか、コメントをつけてもらうとか、Flickr のクラスタのなかに組み込んでみるとか、面白い試みですよね。ある程度運用したところでレポートを読んでみたいです。
投稿者 ryoji : 10:06 PM | トラックバック (0)
December 15, 2007
日本彫刻の近代@東京国立近代美術館
日本彫刻の近代@東京国立近代美術館を観てきました。明治から60年代くらいまでの日本の彫刻をクロノロジカルに一覧するという、ありそうであまりない企画展。意外なほど興味深い展示でした。日本の彫刻を時系列でまとめて見るというのは、実はそんなに機会がないんですよね。だから、たとえばこういう歴史的な流れの中に舟越保武とか柳原義達とか、あるいは佐藤忠良などの作品を置いてみると、なるほどこういう風に見えてくるのかー、というか。
個人的な興味としては、やはり近代に彫刻というジャンルが受容されていく過程が面白かったですね。高村光雲の「老猿」から展示は始まっているんですが、光雲という人は仏師として修行して、彫刻家というよりは「木彫職人」としてやっていた人なんですね。だから工芸品というか、「置き物」としての「木彫り(きぼり)」から木造彫刻へと、つまりは西洋的な彫刻の価値観を受容していく過程での様々が、非常に興味を引かれるものでした。
で、カタログ所収の論文で言及されていた高村光雲『幕末維新懐古談』(岩波文庫)を購入してしまいました。こ、これが面白い…。ホント彫刻の芸術家というよりは江戸の職人といった風で、実にその語りに魅力が溢れています。たとえば、廃仏毀釈で仏師の仕事が減り、かわりに輸出産業としての彫物で象牙彫りが流行し、旭玉山などが売れているころ、象牙彫りを勧められた光雲はこんな風に断わっています。
「かねて師匠から小刀を讓られて、今さら、今日に及び生計のためと申して、その家業の木彫りを棄てて牙彫りをやるというわけには参りません。打ち開けたお話をすれば、全く、私は、象牙を嫌なんです。イヤなのです。どうか、私の趣意をお察し下すって、こればかりは他の方へお廻しを願いたい」
この本を読んで光雲の彫刻を見ると、また一層違った味わいがありそうです。
投稿者 ryoji : 09:04 PM | トラックバック (0)